Monday, September 2

美しい夢 映画『風立ちぬ』

本日、2度目の『風立ちぬ』を観てきた。
二郎も、菜穂子さんも、その他の出演も、
改めて、とても強いなって思った。
時代に翻弄されても、自分を貫いてて、誰のせいにもしてなくて、
潔くて、とてもじゃないけど、そんな清冽な生き方してないなって、
ちょっと自省の念を覚えた。

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飛行機ぼくも大好きだ。
宮崎駿 氏が二郎に語らせた「美しい夢だ」って、
ほんとうにそのとおりだな、って思う。

そらを飛ぶ飛行機は、地をゆく自動車や列車などに比べて
制約が厳しい。
自然から自然に切り抜き出した形状でなくては、
空に浮かばない。
(作中にはその対照として、機関車が多く登場)

数十年前に(大戦が終わって久しくして)、
日本、アメリカ、欧州、ロシア各国が『夢の音速旅客機』を
試作した時代があった。
各国は、空の覇権と経済を手中におさめるため、当然開発の情報を漏洩しないように努めた。
それでも、おどろくべきことに、各国いずれの飛行機は、
同じような形に仕上がったらしい。

これは、これらの旅客機が、
音速という過酷な、
そして人智の限界に挑戦し、
自然という大きな存在とのつばぜり合いの中で、
ぎりぎり磨きだした結晶
だから、
だったらしい。


Photo From Wolfgang Tillmans -- CONCORDE

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飛行機は、「美しい夢」なんだ。
人間が創りだしたものの中で、それはもっとも理想に近いはずだから。

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帰り際、友人に誘われて代々木公園のバーに立ち寄った。
学生時代から大好きだった小西康陽さんがターンテーブル回してて
ちょっと感動したけど、
もっと感動したのは、
最期に、荒井由実「ひこうき雲」かけてくれたこと。

そんな今日だから、
ただただ、沁みた。

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本日、2013年9月1日、
宮崎駿 監督が引退宣言とのこと。
まさか、こんな身近に感じられた日に!と、報道を疑った。

監督どの、
監督のメッセージなんとなく感じました。
もうちょっと、生きながら考えてみたいと思います。

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『風立ちぬ』を観てから、
二郎や、菜穂子さんや、他の登場人物が今、生きてたら、
何を見て、何を考えていただろうって想像が止まらない。

生まれた頃からものが、情報があふれていて、
何も枯渇する思いを感じなく生きてきた私たち。
こんなにも多くのものやことを手に入れてもなお、それでも何かを追い求めている、
いや、人たるべく、追い求めなくては行けない性(さが)に突き動かされている。

ずっと、ずっとこれからも、

1920年代は、貧困に、不景気、病、そして、震災と、まことにいきづらい時代だった
で、始まる予告を今一度観て思う。

監督は、まさに今の時代に投影して、
懸命に生きようとすることの辛さと儚さと、美しさを教えてくれているのではないか。
まさに本作は、現代へのエールなのではないかと、感じる。

社会や時代にもみくちゃにされながらも、自分たちの生きざまを見出した主人公たちに、
過酷な自然から削りだされた美しい結晶である飛行機が、重なってたまらない。

強く、自分らしく、生きたいと、強く思う。
美しい夢を描こう。